「ボドゲを作ってゲームマーケットに出てみたい。でも、赤字になるのが怖い…」
「最初にいくら用意すればいいの? 無名のサークルでも、本当に売れるの?」
これから同人ボードゲームを作る人なら、きっと一度は考えるお金の不安ですよね。私たちも最初は、まったく見当がつきませんでした。
先に結論をお伝えします。私たち「あおときばこ」は、初出展(2024年春)の1回目からプラスにできました。 そして出展を重ねてわかったのは、一番売れるのは初出展のときだということです。1回目は、あなたにとって一番のチャンスです。
ただ、最初にひとつだけお伝えさせてください。お金の計算は大事ですが、本命ではありません。 一番大事なのは、あなたの作ったボードゲームが「売れるかどうか」です。お金の話は、そのための土台として読んでもらえたらうれしいです。
この記事では、チームで実際に使っていたスプレッドシートの数字をそのまま公開しながら、「最初にいくら必要か」「何個売れるのか」「どうすればプラスにできるのか」をお話しします。
👉 前回:ゲームマーケット初出展の当日にやること|埋もれても足を止めてもらう接客のコツ
始める前に資金を用意するために、最初に出ていくお金を知る

まず知っておきたいのは、売上が入る前に、先に出ていくお金です。私たちの1回目は、2作品を各50個作って出展しました。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| マトリョーシカポーカーの印刷代(50個) | 40,304円 |
| 王様レストランの印刷代(50個) | 77,763円 |
| 出展費(試遊あり) | 26,200円 |
| タペストリー | 4,064円 |
| タペストリーのスタンド軸 | 4,760円 |
| 机の装飾(100均) | 約2,000円 |
| 合計 | 約15.5万円 |
※印刷代には、カード・化粧箱・説明書など、ゲーム1つを作るのにかかったお金がすべて入っています(内訳は次の見出しで紹介します)。
1作品だけで出るなら、約8〜12万円が目安です。印刷代は作品の中身で大きく変わるので、早めに見積もりを取っておきましょう。交通費は自分たち持ちでしたが、会場が都内なので大きな金額にはなりませんでした。
タペストリーやスタンド軸は、2回目以降も使い回せます。2回目からは、印刷代と出展費が中心になります。
値段と作る数を決めるために、原価の内訳を知る

次は、1個あたりいくらかかるかです。2024年秋に出した新作『テルアライン』も含めて、3作品の数字を公開します。
| 作品 | カード | 化粧箱 | 説明書 | そのほか | 50個の合計 | 1個あたり | 定価 | 原価率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| マトリョーシカポーカー | 26,070円 | 13,120円 | 1,114円 | — | 40,304円 | 806円 | 1,500円 | 54% |
| 王様レストラン | 42,270円 | 18,220円 | 3,923円 | サイコロ 635円、デザイン外注 12,715円 | 77,763円 | 1,555円 | 2,500円 | 62% |
| テルアライン | 27,500円 | 15,200円 | 1,636円 | — | 44,336円 | 887円 | 1,800円 | 49% |
カードはどれも一番安い紙を選びましたが、それでも原価率は約5〜6割になりました。作ってみて驚いたのは、箱代の大きさです。マトリョーシカポーカーでは、印刷代のおよそ3分の1が化粧箱でした。
王様レストランだけ1個あたりが高いのは、カードの枚数が多いことに加えて、デザインの外注費も原価に入れているからです。デザインを頼むなら、そのお金も「1個あたり」に割り振って値段を考えましょう。
印刷会社の選び方は第5回、値段の決め方は第6回で詳しく書いています。
1回目を勝負の場にするために、初出展が一番売れることを知っておく

ここが、この記事で一番伝えたいことです。私たちの3回の出展の売上はこうでした。
| 回 | 売上 | できごと |
|---|---|---|
| 2024年春 | 98,500円 | 初出展。マトリョーシカポーカーと王様レストランの2作品 |
| 2024年秋 | 70,200円 | 新作『テルアライン』が仲間入り |
| 2025年春 | 37,100円 | マトリョーシカポーカーが完売 |
一番売れたのは、初出展の1回目です。1作品あたり20個ちょっと売れて、「こんなに売れるんだ」と本当に驚きました。
ゲームマーケットには、「初出展のサークルを応援したい」という来場者がたくさんいます。無名で実績がなくても、「初出展」というだけで足を止めて、話を聞いて、買ってくれる人がいるんです。
ただし、初出展なら誰でも売れるわけではありません。 X(旧Twitter)では「1回目は数個しか売れなかった」という声もよく見かけます。
私たちにも、発信力やフォロワーはほとんどありませんでした。それでも1回目から売れたのは、通りかかった人に足を止めてもらえるブースづくりと、当日の接客を徹底したからだと思っています。何もないところからここまで来られたのは、正直、自分たちでもすごいことだと思っています。
だからこそ、1回目が勝負です。初出展であることは遠慮せずに伝えて、準備も当日も、1回目に全力を注いでください。ブースづくりは第9回、当日の動き方は第10回で詳しく書いています。
2回目以降も見てもらうために、新作を前面に押し出す

2回目以降に大事なのは、新作です。出展を重ねてわかったのは、新作はとにかく見てもらいやすいということでした。
ゲームマーケットに来る人は、「今回の新作」を探して回っています。2回目の出展では、新作の『テルアライン』があったことで、足を止めてもらうきっかけが増えました。
新作があるときは、ブースの一番目立つところに置いて、「新作」とはっきり伝えましょう。前から出している作品も、新作をきっかけに見てもらえます。
1回目からプラスにするために、売れる数から作る数と値段を決める

では、1回目でプラスにするには、何個売ればいいのでしょうか。使うのは、この式だけです。
出展の固定費 ÷ 1個あたりの粗利 = プラスにするのに必要な個数
1個あたりの粗利は「定価 − 1個あたりの原価」です。
| 作品 | 定価 | 1個あたりの原価 | 1個あたりの粗利 |
|---|---|---|---|
| 王様レストラン | 2,500円 | 1,555円 | 945円 |
| マトリョーシカポーカー | 1,500円 | 806円 | 694円 |
| テルアライン | 1,800円 | 887円 | 913円 |
私たちの1回目は、固定費約37,000円 ÷ 粗利約820円で、約46個売れればプラスという計算でした。実際に売れたのは2作品で50個弱。売れた分の原価と出展費を差し引いて、約3,000円のプラスです。ギリギリでしたが、初出展でプラスにできたことは、チームの大きな自信になりました。
ひとつ気をつけてほしいのは、50個作っても、売り切れるとは限らないということです。私たちのマトリョーシカポーカーは3回目の出展で完売しましたが、それはたまたまうまくいっただけ。最初は小さく作って、1回目で売れた数を見ながら、次に作る数を決めていくのがおすすめです。
気持ちよく続けるために、お金の管理ルールを決めておく

友達同士でサークルを回すなら、お金のルールは最初に決めておきましょう。私たちは、こうしていました。
- 売上はすべてチームの口座に入れる
- 印刷代・出展費・売上は、スプレッドシートに作品ごとに記録する
- 売上から、デザインツール代などの活動費を払う
- 最後に残ったお金は、メンバーで分ける
数字を作品ごとに残しておいたおかげで、この記事も書けました。払ってよかったお金といらなかったお金を振り返っても、いらなかったお金は1つもありませんでした。
まとめ
同人ボードゲームのお金について振り返ります。
- 初出展の前に出ていくお金は、私たちの場合、2作品で約15.5万円(1作品なら約8〜12万円が目安)
- 原価率は約5〜6割。箱代とデザイン外注費が大きい
- 一番売れたのは初出展の1回目。「初出展を応援したい」来場者がたくさんいる
- ただし初出展なら誰でも売れるわけではない。足を止めてもらうブースづくりと接客がカギ
- 2回目以降は、新作を前面に押し出す
- 「固定費 ÷ 1個あたりの粗利」で、プラスにするのに必要な個数がわかる
- 50個作っても売り切れるとは限らない。小さく作って、売れた数を見ながら決める
お金のことは、少しだけ気にしておけば十分です。 本当に大事なのは、あなたが作ったボードゲームが売れるかどうか。そのためのブースづくりと当日の動き方を、ぜひ第9回と第10回でもう一度見返してみてください。初出展は、あなたが一番応援してもらえる日です。
よくある質問
Q. 同人ボードゲームでゲムマに出るには、最初にいくら必要ですか?
A. 私たちは2作品で約15.5万円でした。1作品なら、印刷代と出展費などを合わせて約8〜12万円が目安です。
Q. 同人ボードゲームの原価率はどのくらいですか?
A. 私たちの3作品では49〜62%でした。カードは一番安い紙でしたが、化粧箱の代金が大きく、原価率は高めになりました。
Q. 無名の初出展サークルでも売れますか?
A. 売れるチャンスは十分あります。私たちが一番売れたのは初出展のときで、1作品あたり20個ちょっと売れました。「初出展を応援したい」という来場者がたくさんいます。ただし、足を止めてもらえるブースづくりと当日の接客がカギです。
Q. 最初は何個作ればいいですか?
A. 私たちは各作品50個ずつ作りました。50個でも売り切れるとは限らないので、最初は小さく作り、1回目で売れた数を見ながら次を決めるのがおすすめです。
Q. 2回目以降も売れるようにするには?
A. 新作を用意して、ブースの前面に押し出しましょう。新作はとにかく見てもらいやすく、前からある作品を見てもらうきっかけにもなります。
次回、第12回はいよいよ完結編です。ゼロからボードゲームを作り、ゲームマーケットに3回出展した私たちが、振り返って思うこと。これからボドゲを作るあなたへ、最後のメッセージをお届けします。お楽しみに!

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