「ボードゲームを作ってみたい。いつかゲームマーケットに出展してみたい!」
そんな熱い思いを抱えて第一歩を踏み出そうとしているあなたへ。いざ作ろうとすると「で、結局何から手を付ければいいの?」と迷ってしまいませんか?
世の中には素晴らしいボードゲームの作り方記事が溢れています。しかし、ルールの作り方や印刷所の選び方を学ぶ前に、個人制作であれチーム制作であれ、未経験者が絶対にやっておかなければならない「準備と心構え」があります。ここを間違えると、途中で挫折したり、企画倒れに終わったりする可能性が跳ね上がります。

この記事では、未経験からゲームマーケットへの出展を果たした私たち素人チーム「あおときばこ」の実体験をベースに、失敗しないための「超・現実的」な始め方を公開します。
私たちは、何年も継続して名作を生み出し続けるプロのクリエイター(神様)ではありません。しかし、だからこそ「素人が一番最初につまずくリアルな壁」と「それをどう乗り越えて最初の1作目を形にしたのか」という泥臭いノウハウを持っています。
精神論や綺麗事は抜きにして、本音でお話しします。
【超重要】作り始める前に知っておくべき「ボードゲームの本当の価値」

ボードゲーム制作の第一歩は、ルールの考案でもイラストのラフを描くことでもありません。
まずは「なぜわざわざ、ボードゲームという物理的なプロダクトを作るのか?(=お客さんは何にお金を払うのか?)」という根本の本質を理解しておく必要があります。
極論を言えば、ボードゲームの多くは「トランプ」や「紙とペン」、あるいは「適当な自作のトークン」さえあれば、ゲームのシステム自体は遊べてしまいます。ルールさえ共有できればゲームとしては成立するのです。
では、なぜ人はわざわざお金を出して、箱に入ったボードゲームを買うのでしょうか?
システムが優れているから? コンポーネントが豪華だから?
半分正解かもしれませんが、一番の理由はそこではありません。

お客さんがお金を払う本当の理由は、「みんなが笑顔になれる時間」を買っているからです。 そして、その没入感のある最高の時間を作り出すための「手段」こそが、ゲームの「世界観」なのです。
ここで言う世界観とは、ボードゲームの持つ「テーマ」や、そのゲームならではの「特徴・ビジュアル」のことです。ただの紙切れではなく、その世界観という衣をまとっているからこそ、プレイヤーは非日常に没入し、心から笑顔になれます。
「ただ緻密なルールを作って売るんじゃない。遊んでくれる人が笑顔になるための時間を提供し、世界観はそのための強力な武器(手段)なんだ」
個人であれチームであれ、このマインドセットを最初に持てるかどうかで、その後のクオリティは大きく変わります。システム至上主義に陥らず、「これは本当に人を喜ばせる時間につながるか?」を判断基準にしてください。
ボードゲーム制作に必要な「4つの仕事」と役割分担のリアル

マインドセットが固まったら、次は実作業の全体像の把握です。 ボードゲームを1つ世に出すためには、大きく分けて以下の「4つの仕事(タスク)」が発生します。一人で作る予定の方も、まずはこの全体像を知っておいてください。
- 企画・ゲームデザイン: ルールの考案、テストプレイの反復、バランス調整
- アート・UIデザイン: 先述の「世界観」を視覚化するイラスト、ロゴ、箱やカードのレイアウト作成
- 広報・Web制作: SNSでの発信、動画作成、ブログや特設サイトの構築
- 進行管理・会計: 印刷所への見積もり・発注、スケジュールの管理、予算と売上の計算

これらをすべて一人で完璧にこなすのは、未経験者にとって非常にハードルが高いです。
そこで私たち「あおときばこ」は、3人組のチームを組み、それぞれの得意分野で役割を分担するという選択をしました。普段の仕事や趣味で培った「持っているカード」をテーブルに並べ、恥を捨てて自己開示し合ったのです。
- きのこ:「デザインとかイラストをやってみたい!」と立候補。世界観を形にするアートワークとUI/UXの要に。
- おくら:動画編集やプロモーションの知見を活かし、制作過程の切り抜き動画など広報担当に。
- さば:Web知識を活かしてホームページやブログを構築。さらに簿記の資格や普段の総務的な実務経験を活かし、シビアなお金の管理(会計)と全体の進行管理を担当。
もしあなたが「自分には絵が描けないから」と制作を諦めかけているなら、デザインができる人を巻き込み、自分は進行管理や広報、会計などの「裏方」で価値を発揮すればいいのです。チームを組む場合は、まずこの「4つの仕事」を誰がどう担うかを明確に決めることが、企画倒れを防ぐ最大の防御線となります。
泥臭い進行管理!スケジュール崩壊を防ぐ「大人の部活動」

役割が決まったら、次はプロジェクト管理です。
ここでも多くの素人チームが「ガチガチの仕事モードにしてギスギスする」か「なあなあにして自然消滅する」の二極化に陥ります。一人で制作する場合も、タスクの沼にハマって完成しないという事態がよく起こります。
私たちは話し合いの末、「仕事っぽくガチガチに管理しない」という決断を下しました。 私たちは友達であり、その関係性を壊してまで窮屈なルールに縛りたくはなかったからです。
そこで決めたスケジュール管理のルールは、総務的な視点を取り入れた超・現実的な2つだけでした。

- デッドラインは「印刷・製造の発注日」から逆算し、「そこまでに終わればOK」
- 進捗管理は「毎週みんなで状況を共有する」だけ
無駄な会議や複雑なタスク管理ツールは使いません。「あれやった?」「遅れてるよ!」と詰め寄るのではなく、毎週の共有の場で「今はここだよ」と現在地を確認し合うだけ。
仕事っぽくしない。でも、決してルーズにはならない。その絶妙な塩梅を支えていたのは、チームで交わしたこの言葉でした。
「オトナだし、遊びだからこそ本気でやろうぜ」
この適度な距離感こそが、未経験チームが途中で空中分解せずにゲムマ出展まで走り切るためのコツです。
【本音】3回目の出展で気づいた「飽き」と、素人だからこそ伝えられること

最後に、これからボドゲ制作に挑む皆さんに、情熱や夢といった綺麗事抜きの「生々しい現実」をお伝えします。
「ボドゲ制作は、ずっと楽しいまま続けられるのか?」と聞かれたら、私ははっきりと「NO」と答えます。
私たちの体験で言えば、1作目(マトリョーシカポーカー)、2作目(王様レストラン)を作って出展した時は、本当に何もかもが新鮮で、熱狂するほど楽しかったです。やる気もMAXでした。
しかし、3作目(テルアライン)の出展に向けて動いていたあたりから、明確に壁を感じ始めました。それは「同じことの繰り返しによる『飽き』と、成長実感の停滞」です。

出展自体は本当に楽しいお祭りです。しかし、裏側の制作工程はどうしても地道な作業のループになりがちです。私たちのような素人集団は、ここで「刺激がなくなった」と感じてしまいました。何年も継続してゲムマに出展し続け、名作を作り続けているクリエイターの方々は、本当に心の底から尊敬します。

私たちが素人集団であったことは事実です。しかし、だからこそ「一番最初の熱狂的な0→1」を絶対に失敗させないための、等身大のリアルなノウハウをあなたに伝えることができます。
最初から完璧なプロを目指す必要はありません。まずは1作目、熱狂と情熱のままに、最高の「笑顔になれる時間」を作り上げてください。
まとめ:まずは「全体像」を把握し、最初の一歩を踏み出そう

未経験者がボードゲーム制作を始めるための第一歩は、以下の3つです。
- 「世界観」を通して「笑顔になれる時間」を作るという目的を理解する
- 制作に必要な「4つの仕事」の全体像を把握し、一人でやるかチームで分担するかを決める
- 「大人の本気の遊び」として、ガチガチすぎない現実的なスケジュール管理をする
もし今、あなたが「ボドゲを作りたい」と思っているなら、まずは自分がどの役割を担えるか、あるいはどの作業を誰かに頼むべきかを整理してみてください。そこからすべてが動き出します。
マインドセットと制作の座組が決まったら、次はいよいよ「どんなゲームを作るか?」という企画のフェーズに入ります。 次回は、私たちが日常のエンタメから学んだ「売れるゲームの法則とターゲティングの裏側」について語っていきます。お楽しみに!

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