「ゲームマーケットの当日って、出展者は何時に何をするんだろう?」
「隣が人気ブースだったら、うちには誰も来ないんじゃないか…」
初めて出展するとき、私たちもまったく同じ不安を抱えていました。
先に結論をお伝えします。当日の勝負は「立って、笑顔で、1分で面白さを伝えること」です。 ブースの見た目は、前日までの準備でほぼ決まっています(ブースの整え方は前回の記事で詳しく書きました)。当日やるのは、そのブースを組み立てて、来てくれた人と全力で話すことだけです。
この記事では、2024年春のゲームマーケットで初出展し、その後も出展を重ねてきた私たち「あおときばこ」が、当日の1日の流れと、無名サークルでも足を止めてもらうための接客のコツをお話しします。
👉 前回:ゲームマーケットのブース装飾のコツ|埋もれず商品を見てもらう方法
当日の流れをつかむために、出展者の1日を時系列で見る

まずは当日の流れです。私たちの1日は、毎回ほぼこの通りでした。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 4:30 | 起床。とにかく眠い |
| 朝 | 会場に着いたらブースを設営(布を敷く、高さを出す台を組む、掲示物を準備) |
| 設営中 | 出展カードをインフォメーションに提出 |
| 開場前 | 知り合いのブースへ挨拶回り |
| 開場〜 | ひたすら接客 |
| 18:00 | 終了のアナウンス。撤収して、借りた備品を返却 |
| 夜 | 打ち上げ |
当日の様子は動画にもまとめています。設営から撤収まで、出展者の1日がそのまま見られるので、ぜひご覧ください。
ちなみに、私たちが出展したのは土曜日だけです。日曜日は出ていません。理由は単純で、2日間は体力的にきついからです。アラサーなので(笑)。土日両方に出るかどうかは、売りたい数だけでなく、自分たちの体力とも相談して決めてください。
近寄ってもらうために、座らずに立って笑顔で声をかける

当日いちばん大事なのは、ブースに近寄ってもらうことです。どんなに面白いゲームでも、目の前まで来てもらえなければ何も始まりません。
そのために私たちが徹底したのは、座らずに立つことです。
座ったまま「いらっしゃいませ」と言われるより、同じ目線で話しかけられるほうが、人は親近感を覚えます。立って、笑顔で「こんなボドゲを売ってます」と言えれば、それで十分です。
声は大きくなくても大丈夫です。会場はにぎやかなので、張り上げるより「通る声」を意識しましょう。
さば「笑顔でいることと、立っていること。結局これが一番大事でした」
会話を始めるために、自分のゲームにつながる最初のひと言を決めておく

足を止めてくれた人がいたら、すぐにゲームの説明を始めたくなります。でもその前に決めておきたいのが、会話のきっかけになる「最初のひと言」です。
ポイントは、相手が答えたら、そのまま自分のボドゲの話につながる質問にすることです。
ゲームマーケットに来る人は、ボードゲームが大好きな人ばかりです。好みを聞かれるのは、仏像好きの人が「どんな仏像が好きですか?」と聞かれるようなもの。たいてい楽しそうに答えてくれます。ただ、答えてもらっても自分のゲームの話につながらなければ、会話はそこで止まってしまいます。
たとえば『マトリョーシカポーカー』は、頭で考えるのが楽しい人に刺さるゲームです。だから「頭で考えるゲームは好きですか?」と聞けば、「好きです」と返ってきた瞬間に「じゃあ、1回やってみませんか?」と試遊につなげられます。
私たちは3つの作品を並べていたので、3つの答えがそれぞれどれかの作品につながるように、こんな3択にしていました。
- 「大人数でワイワイするのが好きですか?」
- 「頭で考えるのが好きですか?」
- 「2人用のボドゲを探していますか?」
自分のゲームの一番の魅力は何か。その魅力に「はい」と答えてくれるのはどんな人か。そこから逆算して、最初のひと言をチームで決めておきましょう。
説明は1分以内にして、ルールより「買う価値」を伝える

ゲームマーケットの会場を思い浮かべてみてください。通路は人でいっぱいで、あちこちから呼び込みの声が聞こえてきます。その中でブースの前に立った瞬間、ルールの説明が最初から始まったら、あなたは最後まで聞いていられるでしょうか?
会場では、人の集中力は1分ももちません。 お客さんとして会場を回ったことがある人なら、きっと覚えがあるはずです。ここでルールを全部説明するのは、かなりもったいないです。
そもそもお客さんは、ルールを聞きに来ているわけではありません。知りたいのは、「このゲームがあると、これからどんな楽しい時間が過ごせるのか」です。友達と集まったときに盛り上がれるのか、じっくり頭を使う時間を楽しめるのか。その未来を1分以内に想像してもらうことが、説明のゴールです。
たとえば、私(さば)が担当していた『マトリョーシカポーカー』は、ワイワイ盛り上がるゲームではなく、頭で考えることが楽しい人に刺さるゲームです。手札はたった1枚。カードを交換しながら、数字が小さい順につながるかどうかを読み合います。
このゲームの価値は「真剣に考える時間そのもの」なので、言葉で説明するより、考える体験をしてもらうのが一番の近道でした。そこで次の「試遊」につなげていました。
ルールを詳しく知りたい方は、こちらの動画をどうぞ。
魅力を一番早く伝えるために、試遊で一度遊んでもらう

ボードゲームを作っている人なら、きっと共感してもらえると思います。ボドゲは、説明書を読んでもいまいちピンとこないのに、一度遊ぶとルールがすんなり入ってきます。しかも「次はこうしたら面白いかも」と、自分で考え始めてくれます。
だから私たちは、試遊卓を満場一致で用意しました。試遊卓をつけるかどうかは、ブースを申し込むタイミングで決まります。当日になってからでは変えられないので、チームで早めに足並みをそろえておきましょう。
試遊卓が空いていたら、必ず座ってもらっていました。マトリョーシカポーカーは1回が短いので、遊びながら「このポジションだったら、あなたはどう考えますか?」と問いかけます。相手に頭を使ってもらい、ゲームを自分ごとにしてもらうのがポイントです。
試遊の順番待ちができるのは、人気ブースくらいです。私たちのような無名サークルでは、まず起きません。もし待っている人がいたら、その人にも一緒に入ってもらいましょう。大人数で遊べるゲームなら、それができます。
3人で回しきるために、「担当大臣」と売り子を決める

私たちは3つのボードゲームを売っていたので、作品ごとにうっすら担当を決めていました。
- 『マトリョーシカポーカー』:さば
- 『王様レストラン』:おくら
- 『テルアライン』:きのこ
もちろん全員がどの作品も説明できるようにしていましたが、接客を続けるうちに、「この人が説明すると、このボドゲはよく売れる」という組み合わせが見えてきます。私たちはこれを「担当大臣」と呼んでいました。
もうひとつ、正直にお伝えしたいのは、3人だけで1日回すのはかなり大変だということです。そこで私たちは、友達に売り子を2人お願いしました。「申し訳ないけど、一緒にやってくれないかな」と、正直に頼みました。
売り子の2人には、立って、通る声で、笑顔で「いらっしゃいませ」と言い続けてもらいました。人が増えたことで、トイレやご飯で抜けやすくなり、1日を最後まで笑顔で乗り切れました。
長い1日を乗り切るために、持ち物で体と商品を守る

ブースの装飾以外で、当日あって本当に助かった持ち物はこちらです。
- アルコール除菌シート:試遊でたくさんの人が触るので、カードを汚さないために
- 養生テープ:掲示物や什器の固定に、とにかく何度も使いました
- 2Lの水:1日しゃべり続けると、のどがカピカピになります
- のど飴:声をからさないために
なお、キャッシュレス決済などお金まわりの準備は、前回の記事で詳しく書いています。
埋もれても心を折らないために、家に帰るまでニコニコする

最後に、これから初出展する人に一番伝えたいことです。
会場に行くとすぐにわかりますが、人気ブースとの差は、ほとんど前評判で決まっています。開場した瞬間に、大行列ができるブースがあります。これは私たちにはどうにもならない話なので、比べなくて大丈夫です。
大事なのは、人気ブースの隣でも、そうでなくても、ずっとニコニコしておくことです。通りかかった人が少しでもこちらを見てくれたら、笑顔で会釈したり、ひと言返したりする。そうして少しでも反応をもらうことが、足を止めてもらうきっかけになります。「この人たち、なんだか楽しそうだな」と思ってもらえるだけで、話を聞きに来てくれる人がいます。逆に、つまらなさそうだったり近寄りがたかったりすると、絶対に人は来ません。
初出展のとき、私たちには会場に知り合いがほとんどいませんでした。それでも出展を重ねるうちに、開場前に挨拶に行ける相手が少しずつ増えていきました。私(さば)は個人的にダーツが好きなので、ダーツ用品を扱う DARTS HiVe(ダーツハイブ)さんが出していたボードゲーム『フィニッシュアウト』のブースにも話しに行きました。好きなジャンルのブースを訪ねるのも、出展者ならではの楽しみです。
さば「あなたたちは、絶対に埋もれます。『こんなに面白いのに、なんで人気が出ないんだろう』と思う瞬間が、必ず来ます。それでも、家に帰るまでニコニコを忘れないでください。そうしていれば、いつか誰かが来てくれます」
まとめ
ゲームマーケット当日にやることを振り返ります。
- 当日の流れは「4時半起床 → 設営 → 挨拶回り → 接客 → 18時に撤収」
- 座らずに立って、笑顔で、同じ目線で声をかける
- 自分のゲームにつながる「最初のひと言」をチームで決めておく
- 会場で集中力は1分ももたない。ルールではなく、どんな楽しい時間が過ごせるかを伝える
- ボドゲは一度遊ぶとわかる。試遊卓は申し込みの段階で決めておく
- 作品ごとの担当と売り子を決めて、休憩を回す
- 除菌シート・養生テープ・水・のど飴で、体と商品を守る
- 埋もれても、通りかかる人に反応をもらえるよう、家に帰るまでニコニコ
当日のブースで売っているのは、ゲームだけではありません。「この人たちから買いたい」と思ってもらえる空気です。 心を折らずに、笑顔で楽しんできてください。
よくある質問
Q. ゲームマーケットは土日両方に出展したほうがいいですか?
A. 私たちは土曜日だけ出展しました。2日間は体力的にかなりきついからです。ただ、遠方から参加する場合は、1回の移動で2日間売れるぶん交通費が浮くので、土日両方の出展がおすすめです。
Q. 売り子は必要ですか?
A. 3人で丸1日回すのは大変でした。私たちは友達に2人お願いしたことで、トイレや食事で抜けやすくなりました。
Q. 試遊卓はあったほうがいいですか?
A. 私たちは必須だと考えています。ボドゲは説明を聞くより一度遊んだほうが早く理解できるからです。試遊卓をつけるかは申し込みの時点で決まるので、早めにチームで決めておきましょう。
Q. ゲームの説明はどのくらいの長さがいいですか?
A. 1分以内が目安です。会場では人の集中力が続かないので、ルールより「どんな楽しい時間が過ごせるか」を伝えましょう。
Q. 人気ブースの隣になったらどうすればいいですか?
A. 比べずに、笑顔でいましょう。隣が人気ブースでもそうでなくても、通りかかった人に少しでも反応をもらうことが、足を止めてもらうきっかけになります。
次回、第11回は「プロジェクトの収支報告・黒字化の答え合わせ」です。結局いくらかかって、いくら売れたのか。第6回で立てた利益計画の答え合わせをします。お楽しみに!

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